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ハンドスピナーはデコにつけるな

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我が家の息子(生後半年)はハンドスピナーがお気に入り。
有料の子供が遊べる施設に連れて行った際に、ベビーゾーンで色々なおもちゃを与えてみたら、1番興味を示したのはハンドスピナーだった。

少し遠くの方で「シャーッ」って回転させていると、えいやえいやとズリハイしながらハンドスピナーの下へ駆け寄ってきたのである。

ハンドスピナーが大好きなことがおじいちゃんおばあちゃんに伝わると、トイザらスでおさるのジョージのハンドスピナーを買ってもらった。
自宅でも最高のおもちゃで遊べるようになった息子は、毎日のように回したり口に入れたりして楽しんでいる。

息子の目の前でハンドスピナーを高速回転させるとキャッキャと喜んでもらえるので、親としても大変助かる。こんなにあやしやすいおもちゃは他にない。
でも、何がこんなに楽しいんだろうかこのおもちゃ。
メリーもだけど、赤ちゃんって回転するものが好きなのだろうか。

ハンドスピナーを使えばすぐに息子が寄ってきてくれるので、たくさん構ってもらいたい馬鹿親としては多用する選択肢しかない。
好きあらば回して子供の興味を惹いて、一緒に遊んでもらうのであった。

そんなある時、ふと思い立つ。

我が家のジョージのハンドスピナーには、壁とかに貼り付けられるように吸盤がついている。
この吸盤を身体のどこかにつけることができれば、私自身に息子が寄ってきてくれるのではないか。

実際はおもちゃ目当てとはいえ、自分目掛けて0歳の息子がニコニコしながら寄ってきてくれるのは嬉しいものなのである。
試さない手はない。

流石にすね毛などの体毛があるので、足や太もも、腕にはハンドスピナーはつかなかった。
しかし、最後の頼みのデコにはしっかりくっついてくれた。
これほどデコという部位に感謝した日はない。

デコにハンドスピナーを装着し、目の前で高速回転させ勝利を確信する私。
デコで高速回転するハンドスピナーはさながらプロペラのようであり、トーマスに出てくるキャラクターにでもなった気分になった。

ハンドスピナーon父、息子といざ対面

息子の近くで横になり、デコを高速回転させる。

デコから「シャーッ」と軽快な音を響かせ、無垢な興味を惹こうとする私の姿はさぞかし滑稽であったと思う。
それでも!
それでも息子が私の顔面を目掛けて寄ってきて楽しんでくれれば!
それでいいんだ!!

思惑通りにハンドスピナーに寄ってきた我が子。
手を伸ばし回転するハンドスピナーを掴もうとしてくる。
自分の目の前に手を伸ばして、おもちゃに夢中になる我が子の様子は、それはそれは癒される姿なのであった。愛らしさしかない。

ハンドスピナーを奪い取られてしまうかな?と心配していたものの、息子が奪ってきたのはメガネのみでハンドスピナーをデコからもぎり取られることはなかった。
デコにハンドスピナーをつけてはしゃぐ父が可哀想だと思ったのだろうか。
気を遣わせてしまったかもしれない、0歳児に。

デコハンドスピナー、非常に良かった。
ハンドスピナーについているジョージの顔も、心なしかいつもよりも楽しそうな笑顔に見えた。
息子とのふれあいの思い出に、デコハンドスピナーが追加された瞬間であった。

楽しみのあとの絶望

ひとしきり息子と楽しんだあと、2人できゃっきゃとはしゃいだ動画を妻に見せようとしたが、その前にハンドスピナーがデコについてる私の爆笑必至な姿も見てもらおうと思った。

妻を呼び、私の面白おかしい姿をお披露目してみたが、期待とは裏腹に失笑されて終わる結果となった。
それどころか、
「おでこの、早くとったほうがいいよ」
と冷静に促されてしまう始末。

すべったことに若干の敗北感を抱きつつも、「なんで?面白くない?」と正直に聞いてみたら、意外な答えが返ってきた。

「早く取らないと吸盤の跡が着いちゃうよ。意外と取れないからねそれ。」
「…跡つくのこれ?なんで知ってるの?」
「私もやって跡ついて困ったから」

まさかの二番煎じ。
お互い馬鹿な思いつきをして、実行していたことに爆笑する夫婦。
こんなくだらないことを思いつき実践する人が身近にいたとは。世間はなんと狭いことだろうか。
二番煎じにも関わらず、たくさん楽しんでくれた息子には感謝しかない。
私が遊んであげたのではなく、私の遊びに付き合ってくれたのだろう。ありがたい。

ハンドスピナーを身体の一部から切り離し、忠告された通り跡を確認してみる。
そこには想像よりもしっかりと跡がついたデコがあった。
明日仕事なのに?まじ??
一気に冷や汗がどばどばしてしまった。
デコにハンドスピナーなんてつけなきゃよかった。

「デコにハンドスピナーつけてたせいで跡ついちゃいました!てへ!」なんて職場で言いたくない。
全力で一晩寝たら治ることを祈りつつ、その日は床についたが、翌朝もしっかりと跡は残っていた。絶望である。

跡が残ったことに後悔はない。
だって私が愉快な姿をしていた時、息子はすごく楽しんでくれていたのだから。
楽しんでもらえたならやった価値はあったというものだ。
そう考えることで私は自分の愚行を肯定することにした。

もしかしたら息子は翌朝に私がこうなることを知っていて笑っていたかもしれないなぁ。なんて考えてみたけれど、0歳児からそんな歪んだ楽しみ方をしていたとしたら将来が心配である。人生2周目でもない限りそれはないだろう。
そんなくだらない思考にふけながら、必死に前髪で跡を隠して仕事に向かったのであった。